アンビシャス運動決意表明

平成13年5月24日
日本ボーイスカウト福岡県連盟 県コミッショナー浦田健司

 青少年アンビシャス運動の推進者のみなさま、こんにちは。 只今ご紹介いただきました日本ボーイスカウト福岡県連盟の浦田です。 このたびは決意表明の機会を与えていただきまして、誠にありがとうございます。 まず、ボーイスカウトと青少年アンビシャス運動の関連性について、簡単にご説明したいと思います。

 ボーイスカウトは、募金活動や清掃活動などを行う、ボランティア団体と思われているところがあります。 赤い羽根、ユニセフ募金、甲子園での高校野球の入場行進や、この夏開催される世界水泳選手権大会の開会式、 表彰式では国旗掲揚の奉仕が予定されています。これらはボーイスカウト運動の一部の活動です。 ボーイスカウトは、大自然の中で、青少年たちが仲間どうし助け合い、励ましあいながら、 冒険心をかきたてるキャンプやハイキングなど、様々な体験を通し自ら成長すること、すなわち社会が求める、 社会に役立つ「人格、健康、技能、奉仕の心」をもつ人間、となるような青少年を育成することを目的とした 「社会教育団体」です。世界151の国・地域で約2,500万人の加盟員がおり、 NGOでは赤十字に次いで世界で2番目の運動体です。青少年の教育を行う運動ですから、当然教育の理念、 体系的な教育方法・プログラムがあります。「神・仏そして自然への努め」「他人への努め」 「自分への努め」が自発的に出来る青少年に育つよう「ちかいとおきて」という日常生活の規範を軸に、 4つの柱によって活動を行っています。それは「一人ひとりの進歩成長を促す制度」「小人数によるグループ教育」 「野外を中心とした活動」「一貫したプログラムの提供」の4つです。そして「自分で考え」「自分で判断し」 「自分で行動する」ことが出来るスカウトになるよう期待しています。その中で特に重要視しているのは、 それぞれの年齢に応じて、また各個人の特性に応じて目標を設定し、それに向かっての行動の大切さを教えています。 また、その行動によって何を得たのか、何が自分に不足しているのか、何が成功の、あるいは失敗の原因か、 今後何をすべきなのか、などを自分自身で評価反省を行い、次へのステップの目標づくりや、 将来の人生設計を考えるきっかけとなるよう、我々指導者はアドバイスを行っています。

ご承知のとおり、青少年アンビシャス運動には展開の3原則があります。このすべてはボーイスカウト運動の教育理念・基本方針と合致しているように思えます。

その一部をご紹介しますと、ボーイスカウト運動は集団教育・全体教育と見られがちですが、 実はそうではありません。少人数の異なる年齢のグループでの活動により、協調性や自発性、 リーダーシップを高めますが、スカウト一人ひとりの成長を基本に考えています。そのため、 他の人との競争や相対比較でなく、一人ひとりについての成長について絶対評価を行いながら 指導・助言しています。必須の課題の他、自分に興味のある課題を選び、挑戦し、その結果、 そのスカウトがどれだけ成長したかを評価し、進歩の記章を授与し、まわりのみんなで褒めたたえ、 次への挑戦の意欲を高める、方法をとっています。ボーイスカウト運動で最高レベルの進歩と 位置付けられている「富士章」の受章者は毎年、麻生県知事とお会いしてお祝いと激励の言葉を頂き、 また皇太子、総理大臣への表敬訪問を行っているのは、その一例であります。 これは青少年アンビシャス運動の「誉めて伸ばそう」の原則とまったく同じ考え方です。 このようなことからみて青少年アンビシャス運動と共通する点が非常に多いことがお分かりになられたでしょう。 ボーイスカウト運動は、すなわち、アンビシャスな青少年づくりと言えます。

また、青少年アンビシャス運動の12の提案は、その多くのことについて、ボーイスカウト運動では、 すでに取り組んで進めています。この3つの原則と12の提案をみると、我々の運動は100年近く前に イギリスで始められましたが、その教育理念・方針は、現代日本の青少年教育にも求められていることを 再確認できました。大変に嬉しく、誇りに思うと共に、このボーイスカウト運動に対して 強力な推進エネルギーを頂いたように思います。

今後は、世界的社会教育運動としての先導的な役割と使命を果たせるよう、これまでの経験や知識・ 技能・人的資源を青少年アンビシャス運動の中で活かし、また運動を推進する地域や他の団体との協同・ 協調を図りながら、この運動の目的達成に貢献することを、日本ボーイスカウト福岡県連盟は、声高らかに表明します。

最後に、ボーイスカウト運動も同じですが、「運動」は常に動いていないと「運動」ではありません。 理念や体制・システムだけでは「運動」ではありません。止まらないよう、そして本当の意味での「県民運動」 に定着・拡大するためには、それぞれの職務・役務・立場の範囲や、掛け声だけにとどまらず、 我々一人ひとりが個人レベルで、継続的にこの運動へ参加することが大変重要であると感じます。 私も、その一人としてこの運動に参加します。

最後まで、ご静聴ありがとうございました。そして、アンビシャスな青少年が増えるよう、 この運動が益々発展・栄えることを祈念して、「弥榮!」