福岡県連盟創立80周年クロージングセレモニー 連盟長挨拶
ボーイスカウト福岡県連盟
連盟長 麻生 渡 福岡県知事

 本日は、御多忙の中、日本ボーイスカウト福岡県連盟創立80周年クロージングセレモニー並びに新年初会議に御出席いただき、厚く御礼申し上げます。

 昨年は、福岡県連盟創立80周年の節目の年でありました。5月の年次全国大会に続き、8月には、80周年を記念して、大規模な合同野営大会をグリーンピア八女で開催しました。当日は、大変な雨の中、スカウト、指導者の皆さんのほか近隣市町村の子供達を含め、二千名を超える御参加をいただきました。天候に左右されず、たくましく活動する子供達を見ることができました。
 今月8日には、脇山野営場にて「ニューイヤーイベント」を開催し、80周年を記念して各地区のスカウトが製作しましたトーテムポールを設置し、皆様に披露させていただきました。正に、連盟一丸となって80周年を大いに盛り上げていただきました。心から感謝申し上げます。

 我々は、次世代を担う青少年が心豊かでたくましく育つよう、学校と家庭そして地域社会が連携・協力しながら、よりよい環境づくりに努めていかねばなりません。

 このような中、異なる年齢の子供達が、奉仕活動・体験活動を基本としたボーイスカウト運動を通して、思いやりや自立心、協調性、倫理観を養うことは、青少年の育成を図っていくうえで極めて有意義です。
 また、様々な分野で国際化が進む中、広い視野を持ち、将来立派に日本をリードできる若者を育てていくことが非常に大切です。国内のみならず、世界的なつながりを持つボーイスカウト活動が果たす役割はますます重要になってまいります。

 本県で取り組んでいます青少年アンビシャス運動では、放課後の異なる年齢の子供達の活動・交流の場を県内約240ヶ所の学校、公民館等に設ける「アンビシャス広場」事業や団体生活の中で自然体験や外国青少年との交流を行う「サマーキャンプ」、「アンビシャスの翼」事業など、ボーイスカウト活動の趣旨にも通ずる様々な事業を展開し、「アンビシャスな」青少年の育成に努めています。この運動への参加団体は今年1000団体を超えました。

 また、夏休みに全国から160人の高校生を集めて、「第3回日本の次世代リーダー養成塾」を、昨年に続き宗像市で開催します。

 80年を経て、新たな年を迎えました。先輩諸氏が築かれた歴史を礎とし、新しい未来を切り拓くべく邁進してまいります。皆様の御協力と御支援をよろしくお願いいたします。

平成18年1月21日

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 平成18年新年初会議 理事長挨拶
ボーイスカウト福岡県連盟
理事長 丸林 茂夫

 明けましておめでとうございます。
本日は、昨年の県連盟創立80周年のクロージングセレモニーと平成18年の新しい年を迎えての新年初会議を開催しましたところ、県内の指導者の皆さん多数ご参加いただき、ありがとうございました。
 80周年の各種記念事業の実施に際しましては、皆様方のご支援、ご協力を得ましてすべての事業がその目的どおりに実施され、成功裡に終了できましたことに、お礼と感謝を申し上げます。今回クロージングセレモニーの中で、各事業実施の映像を見せていただきましたが、記憶をたどりながら感激していたところであります。ありがとうございました。

 さて、平成18年度の基本方針や事業計画は、本来ならば、18年度の年次総会において、ご提案申し上げ審議をお願いするところでありますが、すでに各地区、各団・隊では18年度の活動プログラムが進行中でありまして、例年この新年初会議において説明し、ご理解を得ているところであります。
 そこで、平成18年度のスローガンをはじめ、目標や重点課題についてでありますが、大きな課題は、スカウト人口の減少ということに尽きます。子どもたちにスカウティングのすばらしさや楽しさといったものが受け入れられていないという現実。その原因や根拠をたどっていけば、私を含めてすべての指導者は、もう一度100年前、ベーデン・パウエル卿が提唱したスカウティングの原点に立ち帰って、「ちかい」と「おきて」の実践はもとより、班制度や進級制度の意義を考え、その行動において着実な歩みを続ける必要があると思います。阿部副連盟長がいつも口にされている事ですが、「スカウト精神に立ち帰れ」ということを思いおこし、この運動の本来の意味をスカウトたちに、そして多くの子どもたちに伝えていくことによって活気を取り戻す事が出来るのではないでしょうか。
 加盟員1万人達成の目標は降さないにしても、まず第一歩は、6000人を確保し死守していくこと、そのためにはプログラムの展開の課題、指導者の資質向上の課題を克服しなければなりません。どうか皆さん、この1年、このスローガンのもと頑張りましょう。

平成18年1月21日


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あしあと-ロゴ 「This too is scouting」
<ONIHEI-M&A>
Vol.4
 今回はスカウティングにおける宗教について少し述べてみたい。 宗教といっても色々あり、ともすれば、これが宗教かと思えるものもある。 「苦しい時の神だのみ」という言葉があり、困ったと時や苦しい時に助けてもらうのが 宗教だと思われていることを表現する言葉である。 ある宗教学者が「日本人ほど拝む所の多い国は他にない。また日本人ほど信仰心のない国民もまた少ない」と いわれたことがあるが、信仰心とは何であろうか。
 スカウトとしての「三つのちかい」の冒頭に「神(仏)と国とに誠を尽くし、おきてを守ります」とある。 では神(仏)に対して誠を尽くすということはどういうことであろうか。 簡単に表すことは非常に難しいが、あえてまとめて言えば、
一、 神(仏)を敬う心
一、 神(仏)を信じる心
一、 感謝の心
一、 奉仕の心
この四つの内容を一つにしたものが信仰心といえるのではないだろうか。 問題は、このことを、どこで、どのように現すかである。
 そのためには、寺院や協会に参った時はもちろんであるが、その時だけでなく、日常の生活や スカウト活動の中心として受けとめ、そこで現さなければならない。 もちろん、その基本は神(仏)を尊敬し、信じることに始る。 信じるといっても盲目的に信じるのではなく、神(仏)の仂きや性質、内容を理解し納得して段々と信じ敬うことが強くなり 深くならねばならない。 従って、ただ拝んだり参ったりだけではなく、その宗教の教義(教え)を聞かなければ理解し納得することはできない。 こうしたことをくり返しながら、その神(仏)の仂きの中で大きな恩恵を蒙っていることに気づき、そこに感謝の心が生まれる。 そして、その感謝の心を生活の実際に現すのが奉仕、すなわち世の中や他の人々のために貢献できる仂きを生活やスカウト活動に 現すことが段々とできるようになるのである。そこに、さらに信仰心が育まれるのである。
 こうしたことから、スカウト活動の中心となり土台になるのが信仰心であることに気づかされると思う。 スカウト活動も、ただ集会や行事の時だけでなく日常の生活の中にスカウト活動をとおして学んだことを現してこそ、 本当のスカウティング(活動と運動)といえるのである。それは、「ちかい・おきて」を中心にモットーである、 「そなえよつねに」スローガンである「日々の善行」を実際に現すことでなければ真のスカウティングとはいえないと思う。 「アンノンスカウト」の話は真実のこととして有名な話であるが、その一人のスカウトの善行が、 世界にスカウト運動を広げる大きな動機になっている。このスカウトの善行の基本になっているのが信仰心といえる。
 このように信仰心はスカウト活動によって育まれ、また信仰心を中心にしたスカウト活動こそ真のスカウト活動といえる。 こうして育まれた心をもとに、それが家庭や職場での生活の実際に現され、こうしたことを積み重ねることによって 人格、技能、健康、奉仕という訓練の四本柱が達成され、社会に貢献できる幸福な人生を営むことのできる「よい社会人」を 育てるスカウティングの目的が達成されるのである。
 信仰心は、「これでよい」ということはなく生きている間、求め育まれるものであり、「いつもいつも、死して後もスカウトだ」と 言えるのではないだろうか。従って信仰心は人生の中心であり基本であるといえる。 それは信仰心をもとにしたスカウト活動とスカウト活動によって育まれるという関係があるといえるのである。
 日本連盟教育規定(1-17)に「本連盟は、加盟員が、それぞれ明確な信仰をもつことを奨励する」と定められており、 これは創始者ベーデン・パウエル卿が「スカウトが明確な信仰をもつことを奨励する」といわれたことによるものであり、 スカウト活動における信仰心が、いかに大切であるかについて認識し、改めて信仰心を求めてまいりたいと願っている。
写真は、アトランタ連盟野営場における常設の礼拝場
Vol.3
 前回は、スカウティングにおける指導訓練の五つの内容と訓練の必要性について述べましたが、 スカウティングの要は指導者訓練であることから、更に訓練の内容についてふれてみたい。
 「理解」については、指導者として当然スカウティングの全てについて理解しなければならない。まず知識として、どれだけ理解するか、それはスカウティングの目的、原理、精神、活動内容、訓練法、組織、その他スカウティングの全てを理解し、 理解するための指導者の訓練の目的、方法の責務など指導者として必要な内容について知識として理解することである。
 次の「スカウティング技能」は進歩制度を適用できるために必要な技能、それは観察と推理などによる人格形成に役立つ技能である。
 次は「企画技能」で、これはスカウティングを実施する時には、どのようなことでも立案、企画、計画、準備、実施展開、反省評価の手順が必要であり、そこにプログラムができ、、個人的成長を促す教育的効果をあげるために必要である。
 「人間関係技能」は前回でも述べたように、指導者として特に必要な技能である。指導者とスカウト、指導者と指導者、指導者と保護者、その他一般社会との関係などとの良い人間関係なくしてスカウティングは展開できない。良い人間関係とは、 お互いの信頼と尊敬によって成功するものであって、その基本はコミュニケーションにあるといえる。
 最後に「活用技能」は、スカウティングに必要な、人、物、事、財を、いかに効果的に活用できるかである。それは全ての資源、すなわち人的、物的、財的資源の活用にある。
 このように指導者としては、何よりも常日頃の研鑚が絶対不可欠であることは言うまでもない。その指導者訓練には、先ず「自己研修」次に「定型訓練」及び「定形外訓練」への参加と共に「課題研修」に取り組み、また先輩やトレーナー、コミッショナーまたは団委員長などからの「個別支援」を受ける必要がある。このような五つの訓練方法によって訓練内容が高められ、充実するのであって、これは指導者としての人格の涵養と共にスカウトのために決して怠ってはならないことである。
 そして我々の奉仕は、義務ではなく自ら進んでの奉仕活動であって、できるからするのではなく、どうしたらスカウトのためになるのか、そして自ら進んで時間を見出して研鑚に務めることが何より大切ではないだろうか。自身の奉仕が負担になったりすると、それがそのままスカウトに大きく影響することを自覚しなければならない。
 現在、スカウト人口が年々減少し、特に中途退団者が主な原因になっている。これは社会的環境の変化も大きく影響しているが、それは指導者に原因があると思われる。指導者は改めて中途退団者が増加している原因をふまえて、スカウトらしい未来あるプログラムの研究がなにより大切と思われる。
 それが実効できる中心が「信仰心」であると思われる。このことについては次回に述べることにする。


Vol.2
 スカウト運動の本尊は「スカウト」であることは誰でもが知っていることである。そのスカウトを本尊たっしめるのは「指導者」である。従ってスカウト運動を担い、運動を推進し、スカウトを育てるのは指導者であることは言うまでもない。すなわち運動の「要」は指導者であり、指導者のあり方によってスカウト運動の成果が明確になり目的が達成される。
 「よい指導者のもとで、よいスカウトは育つ」ということを先輩諸氏から教えられてきた。よい指導者になるためには「指導者訓練」が絶対必要である。ボーイスカウト運動には他の青少年団体にない「訓練体系」を有していることは素晴らしいことである。
 指導者訓練には、次の五つの訓練内容がある。
  ○理解
  ○スカウティング技能
  ○企画技能
  ○人間関係技能
  ○活用技能
 こうした訓練が必要な理由は
1.スカウト運動の組織をとおして−運動・組織の理解、メンバーとしての自覚、立場と関係のあり方。
2.目的に向って−スカウト運動の目的を正しく知る、運動の原理と方法を身につける、指導法の正しい理解。<>Vol.1
 2001年6月、はからずもBSA全米総会の機会を得た。 アメリカにおけるスカウティングは、ロンドンの霧の中でのアンノンスカウトの善行に感銘したボイス氏が スカウト運動を研究して全米に広がったことに始まる。
 現在、日本のスカウティングの中でスローガンである「日々の善行」が、どれだけ問題にされ、 スカウト訓育に取り入れられているであろうか。一人の少年の善行が、しかも、ボイス氏が差し出したお礼も受け取らず、 その上、名前も告げず立ち去った少年の行為が、全世界にスカウト運動が広まったことすら知らない指導者、 スカウトが多いのではないだろうか。
 これから、出来ることなら2〜3ヶ月に1回「This too is scouting」のテーマで スカウティングの基本を紹介していきたい。
あしあと

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