平成14年度 事業報告



概 要
 平成14年度は、県連盟創立80周年を4年後に迎えることとなる重要な年にあたり、80周年までの共通スローガン「21世紀にはばたこう」−加盟員1万人達成を目指して−を活動の基軸にすえて、諸活動を展開することとした。しかしながら、スカウト運動をとりまく情勢は、非常に厳しい環境にあることに、まず触れなければならない。
 一昨年のニュヨークにおける同時多発テロ、アフガニスタンへの米国を中心とする国連軍の侵攻など、国際情勢は緊迫した日々が続いた。さらに、世界経済も低迷し見透しのつかない混乱を続け、このことによって、政治への不安、不信が増幅する原因にもなっている。
 こうした中、国内においても金融、経済の破綻は、直ちに雇用不安を招く結果となった。とりわけ、スカウト運動を支える多くの指導者は、青少年の健全な育成のために、スカウト活動を通して社会に役立ちたいという意識や意欲は優れてあったとしても、自分の日々の生活を守ることで身動きがとれない状況にあることも、この運動の厳しさを物語っている。スカウティングをより魅力的なものにし、多くの子どもたちを誘い、そしてこの子どもたちの人間性や人格形成に大きく関わっていくような、すばらしい活動を創り出すのは、1にも、2にも、よい指導者を得ることから始まる。指導者の確保と育成、さらに指導者としての意識の改革は、スカウト運動の充実発展への鍵を握っているといっても過言ではない。
 一方、学校教育も大きく変貌し制度も完全学校週5日制へと移行した。心のゆとりや、生活のゆとりができたはずの子どもたちは、逆に友達との遊びを忘れ、家にこもって1人で何もしない空しい時を過ごしている現実がある。ここでは、夢や目標は生まれそうにない。こうした現状を直視し、スカウト運動にかかわっている私たちはスカウト運動のよさを多くの人々に理解してもらうために何をすべきかを真剣に考えなければならない。
 以上のことも踏まえながら平成14年度の事業と諸活動について評価と反省を加え、報告にかえることとしたい。

○ 主要事業
  
(1)  平成13年度に引継ぎ、「リーダースコンベンションふくおか2002」を県内3会場において開催した。 実施の概要と研修内容の評価については、別途「報告書」にまとめるので、 ここでは評価のみにとどめることにしたい。
 本年度開催の特色は、県内3つの地区において実行委員会が組織され運営されたこと、 参加者が各会場120名とした目標を大きく上まわったこと、これには、県内ほとんどの団からまんべんなく 参加者があつたこと、会場ごとに地区の特性を生かした運営が行われたことなどであった。
 全体として、参加者の思いや課題は浮き彫りにされたが、このことを各団にもち帰って自団を検証し、 次に活性化にむけた具体的行動へとつなげることが、このコンベンション開催の大きなねらいであることを 忘れてはならない。
(2)  団委員長懇談会は、平成14年9月16日博多シティホテルにおいて開催された。
 創立80周年記念事業の概要やリーダースコンベンションふくおか2002のねらい、 そしてコミッショナー制度についての協議のあと、グループ討議と意見交換が行われた。
 団委員長は団の運営を舵取りする船長の役割をもつこと、スカウティングのすばらしさを 我々指導者が本当に理解しているかどうか、さらには、スカウト運動を組織として進めていく上において、 人間関係、相互のコミュニケーションが欠かせないことなどを総括して終了した。
 ただ、本年度も県内81こ団中、40こ団の参加であり、すべての団からの参加が得られなかったのは残念である。
(3)  第13回日本ジャンボリーは平成14年8月3日〜7日までの5日間、大阪舞洲スポーツアイランドで開催された。 本県からは派遣団・奉仕隊・スカウト指導者を含め575名という大編成隊の参加であった。 大都市の中での開催であり、大自然とのかかわりが薄い大会であったが、参加スカウトたちは、 この大会でそれぞれに「何か」を得たものがあったと考えている。
 また、平成14年12月26日から平成15年1月9日まで、タイ国において第20回世界スカウトジャンボリーが開催され、 日本連盟において編成された派遣団に本県連盟からは、指導者、スカウトを含め23名の参加者があった。 福岡空港に降りたったスカウトの真黒に日焼けした笑顔が印象に残っている。
(4)  富士章及び菊章受章スカウトの県知事(連盟長)表敬については県連事業の柱ともなっている。
 平成14年度からは、菊章取得スカウトに対して、青少年アンビシャス運動の指標にもあるように 「誉めて伸ばそう」の原則と、「立派な成果をあげたものに対する顕彰の原則」を取り入れ、理事会の議を得て、 実施することにした。このことによって、スカウト運動の柱である進級への意欲と、 指導者の進級への取り組み意識の向上に寄与するものと考えられる。
 本年は平成13年度及び平成14年度8月までの菊章取得スカウト46名について、 夏季休業期間を利用して平成14年8月26日(月)県庁知事室において実施し、44名のスカウトとその保護者が 参加した。知事の励ましを受け、知事を囲んでの記念撮影がおこなわれた。
 さらに、スカウトの在籍学校の校長に対しては「ボーイスカウト最高進級章(菊スカウト)顕彰に伴う 学校における評価と支援について(お願い)」とする文書を発出し、学校として、 スカウトに対する暖かい対応を促した。
 また、「富士章」取得スカウトについても、平成15年2月19日表敬訪問を行い、在籍学校長及び学長に対して、 同じ趣旨の文書を送達した。
(5)  組織の拡大と成長を促す施策についての「機構改革」に積極的に取り組んだ。
 機構改革検討委員会は、平成14年6月24日の第1回審議から毎月ごと9回の審議を重ね、この間、理事会、 地区委員長会同、さらに、新年初会議にも中間の報告を行い、意見を求めるなどの手順を踏まえて 平成15年3月8日理事会に対して「福岡県連盟規約の一部改正」の提案が提出された。この改正規約は、 平成15年度の年次総会に提案する。
○ 重点課題
    平成14年度の重点課題を定めるにあたって、スカウトに求めるもの、指導者に求めるもの、そして団や隊に、地区、 県連に、具体的に求められる取り組みの目標を設定し呼びかける方途を講じた。ただ、重点課題の各項目における要点は、 1つの例を示したものであり、地区や団そして隊ごとに、それぞれの実態に即して現実的に取り組むべき課題を 設定するよう要請した。
 しかしながら、例えば「指導者はスカウトにとって興味ある楽しいプログラムを提供し、中途退団をなくそう」という 課題をとりあげても、加盟登録者の実態は平成12年度から平成13年度にかけて106名の減、平成13年度から 平成14年度にかけて176名の減と、中途で退団していくスカウトの流れに歯止めをかけることができなかった。また、 各団各隊長においても、どうすれば中途退団を防げるか、具体的な活動の取り組みを促したところであったが数値が 示すとおりの結果になった。
 この他、各団に対する一人でも多くのスカウトを誘う活動に対しては、結果として平成14年度の年間を通して、 追加登録が1名もない団が、北九州東地区で7こ団・北九州西地区で4こ団・福岡東地区で1こ団・福岡中地区で 3こ団・福岡西地区4こ団・福岡南地区で5こ団、全体で81こ団中24団と、3分の1近くの団に追加登録が出ないという 実態であり、スカウト数の減少に対する団委員長をはじめ指導者の「何のためのスカウティングか、 誰のためのスカウティングか」というこの運動に対する基本的な認識の問題を問わざるを得ない。
 団や隊の現状をみつめ、1歩前進をめざして、それぞれの役務を果たしていくことがスカウティングそのものであり、 スカウト運動に参加する我々の努めであろう。
 個々の課題に対する評価は自らに問いかけ、これからは行動で示すほかないことをまとめとして報告にかえたい。



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